柔道整復師の現状は? 柔道整復師は増えている?
柔道整復師は“安定性と将来性がある”として人気の職種ですが、果たして本当なのでしょうか? 今回は、柔道整復師の将来性にフォーカスを当ててお話ししていきます。
現状は事業所増加に伴い需要も増加傾向だが、倒産による統廃合も激化
将来性について深掘りしていく前に、まずは柔道整復師の現状について紹介していきましょう。
柔道整復師の人気は、近年右肩上がりの状況にあります。人気が高まっているのに伴い整骨院の数も増えており、厚生労働省によると、平成30年末時点の柔道整復施術所数は50,077か所で、前回比で2,053か所(4.3%)増加、就業柔道整復師は73,017人で、前回調査(平成28年末)に比べ4,897人(7.2%)増加しています。
柔道整復師の給与面は、年収の幅が主に勤務先や経験年数による差によって大きく変動しますが、約300~700万円程度と言われています。初任給は一般企業の大卒とほぼ変わらない水準ですが、経験を重ねていくにつれ、徐々に上がっていく可能性があります。
これらの数字だけを見ると早々に「将来性がある」と言えそうですが、その反面、競争の激化が原因で倒産が急増していることも、就職や転職を考えている人は念頭に置いておきましょう。
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柔道整復師の働き先は?
柔道整復師と一口に言っても、整骨院、病院の整形外科、デイサービスやスポーツジムなど様々な働き口があります。その中でも、柔道整復師の働き先として最もメジャーな整骨院と、病院の整形外科についてここでは説明していきます。
整骨院は大手グループが給与・教育で安定的だが競争は激しい
まずは、柔道整復師の多くが所属する整骨院。身体が辛い時は、近場で整骨院やマッサージ院を探すことが多いと思いますが、主に身体の表面を揉む、押す、叩くといった施術を提供して血流やリンパの流れを促進するマッサージ院に対して、整骨院では治療のイメージにより近い施術を提供します。
捻挫や打撲、骨折、脱臼などのケガの治療のほか、運動療法、運動指導など、整骨院で行う施術内容は多岐に渡ります。骨折や脱臼を元の位置に戻したり、包帯やテーピングで固定したりするなど、ケガの発生から治癒まで全てに関わることができ、さらにストレッチやトレーニングなどでのリハビリテーションの指導により、薬を使わず患者の自然治癒力を最大限に生かしたアプローチで回復へ導きます。
整骨院は、個人経営の小さな整骨院では詳細な昇給制度が決まっておらず、キャリアアップのビジョンが見えないケースも少なくありません。一方で、大きなグループ会社であれば昇給制度や教育体制が明確にされていることが多いです。将来性を考えるならば、大手整骨院グループを重点的に見ておくと、希望の条件に合う職場をはやく見つけられるかと思います。
起業を視野に入れるなら、人脈形成に役立つ整形外科
次に、病院の整形外科。整形外科では、骨折や脱臼など突然のハプニングによる疾患が多く、リピーターの多い整骨院に比べて新規のお客様が多いのが特徴です。病院で働くと、整骨院だけでは得られない専門的な知識と経験を得ることができます。
柔道整復師は、資格さえあればいつでも独立開業できるので、学校を卒業してから開業するまでの期間に、柔道整復師が勉強のために働いているケースも多いようです。
病院の整形外科における柔道整復師の主な仕事は、患部がもとの状態に戻るための整復業務や電気施術、リハビリの指導などになります。医師や看護師、あん摩マッサージ指圧師など様々な人材が集まる場所であるため、施術者として幅広い経験を積むことができます。レントゲン撮影や手術が必要な疾患など、医師が診察を行うべき症状などもあり、接骨院ではなかなか診ることができない症状の患者様が来ることがあります。整骨院ではレントゲン検査はできませんが、整形外科で働いていると様々な症例を診ることができます。
そういった検査画像を確認することで、自分が開業した時に「この症状は整骨院で対応できないので、病院に行った方がいい」など適切な判断を下すことにも繋がります。さらに、病院によっては定期的な勉強会を行っているところもあり、自分の技術を磨ける環境に身を置くことができます。
さらに、整形外科医との良好なコネクションを作っておくことができ、後ほど開業する予定がある方にとっては大切な財産となるでしょう。「どの方向性になるかはまだ未定だけど、将来のためになるようなところで働きたい」「いつかの開業する夢のために実績を積みたい」という気持ちがある方にとっては、かなり将来性のある働き先だと言えます。
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日本の高齢化から考える柔道整復師の将来性は?
世界でも例を見ない超高齢社会となった日本。そんな中で今課題になっているのが、長生きするだけでなく、病気やケガのない元気な状態で日常生活を楽しく暮らす「健康寿命」です。高齢になると運動機能が低下してしまうので、筋肉や骨の知識が豊富な柔道整復師は、高齢者リハビリテーションには欠かせない存在となります。
そして、高齢化が進むという事は、今までメジャーだった接骨院だけでなく、病院やクリニック、介護施設でも柔道整復師の雇用の機会が増えるということです。
そんな中で、今特に需要の高まっているのが“介護福祉施設で働く柔道整復師”です。介護福祉施設とは、デイサービスや特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどのことを指します。柔道整復師がデイサービスで勤務する場合は、「機能訓練指導員」として働くことになります。「機能訓練指導員」とは、ケガや病気、加齢などによって日常生活に支障をきたし始めた方が、健康で自立した生活を送ることができるように、リハビリや機能訓練のサポートをする職種のことです。この機能訓練指導員は、デイサービスや特別養護老人ホームなどの施設に必ず一人以上配置することが義務付けられています。
柔道整復師がデイサービスを開業する場合には、機能訓練指導員という役職が必須になりますが、柔道整復師が機能訓練指導員として独立開業をすれば、自分以外の機能訓練指導員を探さなくて済みます。介護業界全体が人手不足な中、良い人材を探すのは一苦労ですが、機能訓練指導員を自分で補えるのは大きなメリットだといえます。
また給与面でも整骨院より待遇が良く、相場は22~30万円となっており、条件のよい職場では35万円程度に及ぶこともあるようです。というのも、給与の他に住宅手当や扶養手当、時間外手当がつく施設が多く、勤務形態によっては30万円を超えることも大いにあるためです。また、施設によっては柔道整復師の国家資格を持っていることで資格手当を支給してくれることもあるといいます。
いずれにせよ、2040年まで高齢者は増え続けると言われているため、デイサービスなどの介護施設で働く機能訓練指導員の需要が減ることは考えづらいといえます。それだけでなく、より高水準で好条件のデイサービスが増える可能性もあるでしょう。人手不足の医療介護業界で、柔道整復が救世主となる可能性も十分にありえます。
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起業や個人事業主としての働き方から考える柔道整復師の将来性は?
柔道整復師はいつでも起業する事ができますし、フリーランスとして働くこともできます。柔道整復師の国家資格は、一度取得すると生涯有効です。資格習得後は、自分の好きなタイミングで独立開業することができます。
自分の城を築き、地域の患者様と施術を通してコミュニケーションを取ることは大きな喜びであり、モチベーションになるといいます。ほかにも、内装やインテリアを自分好みに演出したりして、思い描く理想の空間を現実にすることができます。自分らしくいられる場所で、自分の意向に沿って働くことは、大きなやりがいや魅力に繋がるはずです。その目標を胸に、今整骨院などで働いている人もいるかもしれません。
しかし、冒頭でお話しした通り、近年柔道整復師の人気が高まっているのに伴い整骨院の数が増え、競争の激化が原因で倒産が急増していることも頭の片隅に置いておきましょう。その他にも、金銭面での負担や患者様の集客など、あらゆることに頭を悩ませる可能性がありますが、経営が波に乗ってしまえば年収1,000万円超えも狙えるといわれています。自分の実力の分だけ結果が返ってくる世界ですし、資格を持ってさえいればいつでも挑戦できるというのは非常に魅力的であり、将来性があるといえるでしょう。
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健康ブームから考える柔道整復師の将来性は?
コロナ禍で外出の機会が減り、多くの人が運動不足を感じることで、近年ますます日本でも健康志向が高まってきました。それは若い世代だけでなく、健康意識の広まりとともに中高年の方にも増え、全体としてジムに通っている方の人口が増加しています。
そんな健康に生きる時代の流れに伴い、スポーツトレーナーとして活躍する柔道整復師も増えてきました。近代スポーツでは、合理的で科学的な理論に基づいてトレーニングを行うため、理論に基づいた身体のメンテナンスは欠かせません。柔道整復師はもともと柔道での怪我の回復を行ってきた技術者であり、スポーツをする身体に関する知識が豊富なだけでなく、競技中の怪我の応急対応もすることができます。
特に、脱臼や捻挫のようなスポーツでよく起こりがちな怪我に対して、外科手術を行わずに整復・固定・後療法を用いて施術することに長けています。
スポーツトレーナーは民間の資格がいくつかありますが、柔道整復師など医療系の国家資格をもとにして働くことが一般的です。今後は整骨院や病院だけでなく、スポーツチームやスポーツクラブなどのトレーナーとして働く機会がさらに増えていくことが予想されるので、こちらの方向性でも将来性があると言えるでしょう。
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転職から考える柔道整復師の将来性は?
整骨院の数が右肩上がりで伸び続けているという現実を見ても、柔道整復師は常に必要とされていると言えます。多様な働き方が可能であり求人が増えているので、今以上の環境に転職できる可能性もあり、将来性のある職種だと考えます。
高齢化に伴って需要の増えている福祉業界や、昨今注目されているスポーツトレーナーの道など、柔道整復師という職の中でも色々な方向に枝葉が分かれています。自分次第でいくらでも間口は広がりますが、「自分一人ではどうしたらいいかわからない…」という方もいらっしゃるかもしれません。そんな時は、ぜひWELLジョブにご相談を。一緒にあなたの将来を考え、さらに広げていきましょう!
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