柔道整復師はコミュニケーション能力が大切
身体の状態を知ってケアするスペシャリストとして、患者様の役に立つ仕事である柔道整復師。
しかし、柔道整復師と一口に言ってもその働き先は多岐に渡ります。
例えば、最も多くの柔道整復師が働く整骨院・整体院の他に、就職先として人気の高い病院の整形外科、はたまた近年需要がうなぎのぼりの介護福祉施設、パーソナルジムなど、様々なシーンで活躍の機会があります。
その全てに共通して必要になるスキルが、コミュニケーション能力です。ともすると営業トークとネガティブに思われてしまいますが、コミュニケーション能力を表すこの営業力や営業トークは柔道整復師に関わらずとても大切な技術と言えます。
柔道整復師は、手術をするのではなく人間の自然治癒力を利用して治療していくため、治るまでに時間がかかるケースがほとんどです。長期的に通院してもらう必要がある場合は、一人のお客様とのコミュニケーションが長くなります。初めは辛い顔をして来院された患者様が、治療を重ねるにつれ回復して笑顔になっていく様子を見られるのは一番のやりがいであり、モチベーションに繋がると言います。
前提として、親しくなるためのコミュニケーションは大事
患者様の症状を把握したり回復指導をしたりするために、普段の生活やプライベートな内容について話すことも多くなります。そうして話をするうちに自然と患者様のことを知るようになり、親しい関係性になることもあります。
ケガの治療やリハビリテーションなどは患者様にとっては不安な状況であるため、安心感を持ってもらえるようにじっくりとコミュニケーションを取ることは必須であるといえます。
これを営業トークというかと言うかもしれませんが、とても大切な能力であることはイメージがつきますよね。
患者様一人一人との密なコミュニケーションが必要不可欠である分、人見知りな方や、話すことが苦手な方は、そこで難しさを感じることがあるかもしれません。柔道整復師としての技術が高ければ良いというものではなく、接客業として必要であるコミュニケーション能力も、身につけておくべき大切なスキルなのです。
自分の腕を信用してくれると、お友達やご家族を紹介してもらえることもあります。
自分の技量とコミュニケーションがお店の評判に直結する分、プレッシャーを感じることも少なくありませんが、その分とてもやりがいのある職業だといえます。
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コミュニケーション能力と営業トークの違いとは?
「コミュニケーションが大事なことはわかるけど、それって営業トークと一緒じゃない?」
と疑問を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。
“営業トーク=押し売り”というネガティブな感じがして、あまりいい印象を持っていないという柔道整復師も実はたくさんいますが、営業トークというのはお客様とのコミュニケーションであり、しっかりとプロとして誠実に正しい事を伝える事です。
もちろん自発的に患者さまが来院してくれるのが望ましいですが、売り上げのために無理やり再来院を伝えるように店舗側から言われるようなことも、実際にあります。そのようなやり方が嫌で、転職に踏み切る柔道整復師も少なくないのです。
柔道整復師の方とお話しをしていると、多くの方は営業トークが嫌いなのではなく、ノルマの為のトークがなっている事が苦手な方がほとんどです。
コミュニケーションが苦手だと感じる方は、営業トークをしようとするのではなく、ヒアリングを重視しながら患者さまとコミュニケーションを取るといいでしょう。本来、柔道整復師は身体の状態を知ってケアするスペシャリストです。身体の状態を把握して痛みの原因を見つけ、適切なケアをするには、コミュニケーションを取ることは必要不可欠です。そのように考えると、いわゆる“営業トーク”への嫌悪感は薄まり、自然な形で患者様といい関係を築けるかと思います。
柔道整復師に聞く「NG営業トーク」集
先ほど“売り上げのため、無理やり再来院を伝えるように店舗側から言われることがある”とお伝えしましたが、実際にコミュニケーション研修がある整骨院や整体院もあります。中には、手技の研修はないのに、営業の研修はあるという企業も存在するくらいです。
コミュニケーション研修とは、普段何気なく行っている会話や意思伝達を、より正確に、円滑に行うため、コミュニケーションについての基礎知識やコツを身に着けていくための研修です。お客様が何を求めているのかを適切にヒアリングできるようになることや、お客様との良好な人間関係の構築を目的にしています。
高額傾向になりがちな回数券のセールス
中には正しい営業トークのコミュニケーションと押し売りの営業トークを混同してしまったり、いわゆる“押し売りの営業トーク”をお店側から強要されて、実践してしまう柔道整復師もいます。
例えば、リピーターの獲得に繋げなければいけないというプレッシャーから、「様子を見たいからまた明日来てください!」と、来院する期間を極端に短く伝えることもあります。
断るのが苦手な控えめな性格の方は、断りきれないことがあるかもしれません。
数回分の来院をはじめに確保するために、回数券のチケットを売るケースはよくありますよね。
“お試しで来院された方は、その日に回数券を買えば初回施術料無料!”といった営業は、私たちもよく目にすることがあるかと思います。一回の施術料が一万円など、比較的高価な整骨院であれば、“10回分の料金で11回施術が受けられるなんて!”と嬉々として10万円を払う患者様も少なくないでしょう。
実際にそのサービスを受けて、得をする患者様もいらっしゃるかと思います。
しかし中には、ちゃんとしたカウンセリングや施術もせず、“一般的に身体の痛みが治るのは10回くらいだから”と、きちんとお客様に向き合わずはじめから回数券を売りつけられることもあります。症状によって来院すべき回数は一人一人違うため、一概には言えませんが、例えば5回で症状が治まる人にとって、言われるがままに購入した10回分の回数券は“余計な出費”であるといえるでしょう。
”恋愛詐欺まがい!?” 思わせぶりな接客
また、必要以上のサービスを提供して売上を上げる整骨院もあります。「お時間延長しますか?」と聞かれ、サービスかと思い延長したところ、説明なしに金額が上がっていたというケースもあります。お互いに確認をしなかったのが認識のズレの原因かとは思いますが、それでも料金が加算されるのであれば、一言患者様にお伝えするのが親切ではないでしょうか。ここまでいくと押し売りの営業トークというよりも誠実さの問題でもあります。
そして時たま耳にするのが、“恋愛詐欺まがい”な営業に悩まされている患者様側の声です。はじめにお伝えした通り、柔道整復術は治るまでに時間がかかるケースがほとんどです。長期的に通院してもらうために、一人のお客様との関わりが長くなります。長期間で施術をされたり、プライベートなことについても話したりするうちに、柔道整復師の人柄に惹かれて、恋心を抱く患者様が中にはいるようです。一例を紹介してみましょう。
「一年ほど通っている整骨院の、柔道整復師の先生が気になります。とてもお話し上手な方で、私が料理が得意だという話をしたら“○○さんの手料理が食べてみたいな”と言ってきたり、少し髪色を変えただけで気づいてくれて、“似合ってますね。○○さんらしくて可愛いです”などと言ってきたりします。彼女がいるかどうかは聞けていませんが、理想の女性について詳しく話されることもあります。私に好意があるのか、それともただの営業トークなのかわからず、毎回心が揺さぶられています」(20代女性・会社員)
柔道整復師とお客様同士の恋は少なくありません。実際にそういった関係から発展して、結婚まで至ったというカップルもいます。中には、柔道整復師から患者様を誘うことを禁止している整骨院もあり、バレたらクビになる場合もあるため、好意をアピール出来ても自分から声は掛けられないというパターンも考えられます。
しかし、“自分の顧客を確保しなければならない”というプレッシャーから、お客様に思わせぶりな態度を取る人が一定数いるということも真実です。そんなことをする人は滅多にいないかと思いますが、他人の心を弄ぶような営業は決してするべきではありません。もはや押し売りの営業と呼べず、誠実性やモラルを疑ってしまいます。
特にこれから柔道整復師になる方は、誰かを傷つけるような営業トークは絶対にしないように留意しておきましょう。営業とは本来はお客様とのコミュニケーションをし、お客様に対して喜んでいただける付加価値を与える仕事です。商売をする限り、営業トークは切っても切り離せないスキルではありますが、押し売りする事が営業なんだと思ってはいけません。実際に一般職等で営業職に就いている方のお話しを聞くと、営業という仕事の誇りを持っているので「営業=押し売り」と思われるのは釈然としないと聞きます。
本当に良い営業トークとは? 押し売り営業にならないポイント
そもそも、なぜコミュニケーションではなく押し売りの営業トークが求められるのでしょうか?経営者の立場からすると、それはズバリ“売上を上げるため”です。確かにヒアリングをしながら正しいサービスを提供することは大切ですが、一方で不明確なままサービスを提供したり、必要のない施術を無理やり押し付けたりすることは正しい姿とは言えません。
特に現場で働く柔道整復師が一番辛いのは、患者様に嘘をつかなければいけない時でしょう。嘘までいかなくとも、真実を隠したり、脚色したりするだけでも心は疲弊してしまいます。
そういった時は、まず「自分のため」から「患者様のため」に、発想を180度転換してみることをオススメします。患者様にとってのメリット・デメリットをお伝えして、プラスになるものを売って差し上げることが重要です。
例えば柔道整復師と患者様でいうと、「ある程度症状が治ったのに、リピートする意味はあるの?」という疑問に対して、メリットとデメリットは下記のようになります。
メリット:施術を重ねて、やっと良くなった今の身体の状態をキープするための施術です。もう一度悪くなって一から治すよりも、今の身体をキープする方が、時間的にも経済的にも、結果的に見るとお得です。
デメリット:今は身体の状態がいいので、改善というよりはキープになります。極端に言えば今施術をする必要はありませんが、メンテナンスのために通っていただくイメージです。
このように真実をありのまま話す方が、お客様に寄り添ったコミュニケーションであり、自分の心にも負担をかけない誠実な正しい営業トークだと思いませんか?
いいサービス、いいコミュニケーションを提供していれば、自ずと再来率は上がるはずです。逆に押し売りがひどくなると、プッシュ型の押し売りの営業トークに拍車がかかり、患者様に魂胆を見透かされる可能性が高いと言えます。売上のために、患者様や現場で働く柔道整復師の気持ちを無視することは、結果的に経営者自身の首をしめることになるでしょう。
営業ではなくコミュニケーションを大切にする求人を探すには?
本記事では、営業トークとコミュニケーションについて詳しくお話ししてきました。ここまで読んで、“やっぱり自分に営業トークは向いてなさそうだな…”と感じる人もいらっしゃるかと思います。
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