柔道整復師として働いている人の中には、「独立開業したい!」と思っている人も多いことでしょう。
しかし、開業するとなると様々な準備が必要になるため、半年~1年前から準備を始めることをおすすめします。計画性がなくてもダメですし、考えすぎて行動できなくなってしまうのもまたダメ。非常にタイミングは難しく、自分の意思を試されているとも言えますね。
では、柔道整復師が独立開業するには、どのような準備が必要なのでしょうか?
そこで今回は、柔道整復師が独立開業する際に「押さえておくべき条件」を9つご紹介します。
「えっ、9個もあるの?」と思った人は、独立開業についてもう一度検討してみましょう。なぜなら、9つの条件は「独立開業に関するほんの一部」だからです。本気で独立開業するとなれば、もっと色々なことを考えなければいけません。
それでも「やっぱり独立開業したい!」という柔道整復師の人は、本記事を参考にして開業を成功させましょう。それでは、早速「押さえておくべき基本の9箇条」をご紹介していきます。
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1.「独立開業の理由」を明確にする
柔道整復師が独立開業したいと思ったら、まずは「どうして開業したいのか?」を明確にしましょう。開業したい理由を明確に語ることができなければ、いざ開業しても迷走して経営を軌道に乗せることはできません。
また、開業資金を調達するステップでは、融資担当者に事業計画や方針、どのような接骨院にしていきたいか、などを説明する必要があります。そのため、そもそも「どうして開業したいのか?」が曖昧な状態では、次のステップに進むことはできないでしょう。
開業したい理由が「開業したほうが何となく楽そうだから」とか、「開業したほうが儲かりそうだから」という安易な考えならば、もう少し検討してみることをおすすめします。なぜなら転職する事でこの理由を叶える事も出来る可能性があるからです。
たしかに独立開業すれば年収1,000万円も夢ではありません。しかし、独立開業をするということは、従業員ではなく経営者になることを意味します。つまり、施術だけをこなしていれば良いわけではなく、経営や経理、マーケティングや営業活動や採用活動などもすべて経営者が考えなければいけません。
その覚悟がまだ固まっていない人は、まずは高給与をもらえる治療院への転職を検討してみましょう。高給与がもらえる治療院なら、スキルアップできる体制が整っている可能性が高いです。
「でも、そんな求人どこで探せば良いの?」と思っている人は、WELLジョブに相談してみてください。WELLジョブは、柔道整復師などの治療家に特化した転職サービスです。
業界の中でも豊富な求人数を保有しているので、きっと条件に合った求人が見つかるでしょう。まずは年収アップのために転職をして、スキルアップしてから独立開業について再度検討してみてください。
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2.開業には「施術管理者」の受講が必須!
柔道整復師が独立開業するには、「施術管理者」の要件をクリアしていることが必須です。以前は、柔道整復師の国家資格を取得していれば開業することが可能でしたが、平成30年4月から「施術管理者」の要件を満たしていなければ開業することができなくなりました。
施術管理者になるには、定められた期間の実務経験年数と、「柔道整復研修試験財団」が主催する研修を「受講」する必要があります。
(参照:柔道整復研修試験財団https://www.zaijusei.com/training_oparation_2021.html)
上記2つの条件を満たした柔道整復師は、施術に係る療養費の受領委任を取り扱うことができるようになり、独立開業が可能です。
施術管理者に必要な「実務経験」とは?
施術管理者になるための「実務経験」とは、登録施術所(受領委任を取扱う接骨院や整骨院など)で柔道整復師として従事した経験のことを指します。
(参考:厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/171227-02.pdf)
独立開業する時期によって実務経験の年数が異なるため、詳しくは「柔道整復研修試験財団」の公式サイトをご覧ください。
(参照:公益財団法人 柔道整復研修試験財団https://www.zaijusei.com/training_oparation_2020.html)
施術管理者に必要な「研修の受講」とは?
施術管理者になるには、「公益財団法人 柔道整復研修試験財団」が主催する「施術管理者研修」を受講しなければいけません。この研修の目的は、以下の2つです。
・柔道整復師の施術に係る療養費の受領委任を取扱えるようになる
・質の高い施術を行えるようになる
「施術管理者研修」は2日間受講する必要があるため、スケジュールをしっかり確認した上で申し込みましょう。
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3.経営戦略・事業戦略を考える
「1」で、どうして独立開業したいのかを明確にしたので、次のステップとして経営戦略や事業戦略を考えていきましょう。開業したい理由が明確になれば、おのずと経営戦略や事業戦略が導き出されてくるはずです。
たとえば、以下のようなことを考えていきましょう
・あなたが開業する接骨院の経営理念は何ですか?
・どれくらいの規模の接骨院を開業したいですか?
経営戦略・事業戦略とは、いわゆる「あなたの接骨院のコンセプト」のことです。
どんな接骨院を開業したいのか、目指すところが決まっていればあとは戦略を細分化し、具体的なアクションへと落とし込んでいくだけでOK。そこまで決まれば、あとはその戦略を実行すれば良いでしょう。
経営戦略や事業戦略を考えるにあたって、「マーケティングの知識」が必要になります。以下の2つのフレームワークを習得しておきましょう。
売上アップのためのマーケティングスキル「4P」とは?
柔道整復師の従業員として働いていた人は、マーケティングには無縁だった人もいるかもしれません。しかし、歩合制の柔道整復師としてインセンティブをもらっていた人は、売上アップのための戦略を練っていたはずです。
その戦略こそが「4P」です。4Pとは、以下の4つの戦略を考えることです。
・Product……商品戦略
(接骨院の施術を他の治療院と差別化するなど)
・Price……価格戦略
(保険診療なので価格設定はできないが、プラスαのサービスを検討するのもアリ)
・Place……流通戦略
(どんな空間で施術するのか、どんな人が施術するのか、など手段を考える)
・Promotion……販促戦略
(いわゆる広告や宣伝のこと。患者さんをどうやって集めるのか)
以上4つの戦略を考えた上で、接骨院を繫栄させることが目的です。このような経営戦略を行わなければ、開業しても立ち行かなくなるでしょう。
事業を発展させるためのマーケティングスキル「3C」とは?
4Pが商品価値を生み出す戦略だとすれば、3Cは事業を発展させるためのマーケティングスキルのことです。
3Cとは、以下の3つのことを指します。
・Customer(市場・顧客)……患者
・Company(自社)……あなたの接骨院
・Competitor(競合)……近隣の接骨院
上記3つのCについて分析し、事業をより発展させていくことが目的です。
たとえば、「患者さんはどのような施術を求めているのか」「見込患者数はどれくらいいるのか」などをリサーチ・分析して、事業の将来性を把握していきます。
また、「あなたの接骨院の売りは何か」「競合はどのような施術を提供しているのか」などを分析して、収益を高めていく戦略を練ります。
このように、柔道整復師が独立開業するためには様々な戦略を練り、事業を発展させていかなければ存続することはできないのです。
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4.経営戦略・事業戦略をベースに開業資金計画を立てる
接骨院を開業するためには、開業資金が必要です。どれくらいの開業資金が必要になるのか、あらかじめ計算しておくことが大切です。貯金だけでまかなえれば良いですが、ほとんどの場合は融資が必要になるでしょう。
融資とは、銀行や信用金庫などに借入の申し込みをすることです。しかし、お願いすれば必ずお金を貸してくれるわけではありません。融資担当者が「お金を貸してあげたい!」と思えるようなプレゼンをする必要があります。
そのためにも「どうして開業したいのか」という開業理由はもちろん、経営・事業計画をしっかりと打ち出して「返済可能」であることをアピールしなければいけません。
このプレゼンが曖昧だったり、自信がなさそうに語ったりすると、融資担当者は不安を覚えて融資を見送られる可能性があります。
独立開業すると様々な人と関わることが多くなるため、開業を決意したらコミュニケーションスキルやプレゼンスキルも磨いておくことをおすすめします。
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5.開業予定場所の調査分析をする
どこで接骨院を開業するのか、開業予定場所の調査分析をすることも大切です。接骨院は医療関連の施設ですが、あくまでも商売だということを忘れてはいけません。
多くの患者さんに来てもらうためには、人通りの多い場所に開業するのがおすすめです。たとえば、駅前などの繁華街なら人通りが多いですが、そのぶん家賃が高くなります。家賃などの経費が高ければ利益が減ってしまうため、より多くの患者さんに来てもらわなければ潰れてしまうでしょう。
逆に、できるだけ家賃が安い場所を選んだ場合、駅から遠くて人通りの少ない場所である可能性が高いです。駅から遠いという時点で、高齢の方が通院することは難しくなるでしょう。高齢の方でなくても、定期的に通うことができずに来院数が減ってしまう恐れがあります。
このように、どこに接骨院を開業するのか、という場所選びは非常に重要なのです。ただ単に「好きな場所」で開業しても集客はのぞめないでしょう。
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6.接骨院レイアウトの設計・工事をする
接骨院を開業する場所が決まったら、院内のレイアウトの設計と工事をしなければいけません。工事にも費用が掛かりますが、ここで妥協すると開業してから後悔することもあります。最初にある程度の設備を整えておくほうが良いでしょう。
どのようなレイアウトにすれば来院者の導線を確保できるのか、トイレなどの水回りやコンセントなどの電気系統はどうなっているのかを確認し、必要であれば工事を依頼します。
来院者が快適に行動できる導線を確保することは、リピーターの確保にもつながるため大切なポイントです。リピーターが増えれば売上もアップするため、経営がうるおうでしょう。
たとえ施術のスキルが高くても、居心地の悪い空間であれば来院数はどんどん減ってしまう可能性があります。そのため、内装をきれいにしたり、最新の設備を整えたりすることも重要なポイントです。
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7.接骨院開業申請手続きをする(必要な届出を確認)
接骨院を開業するにあたって、必要な届出を確認しておきましょう。開業には様々な届出が必要になります。「施術所開設届」は必須のため、しっかりと必要書類を準備しておきましょう。
様々な届出をするにあたって、もちろん印鑑や銀行口座は絶対に必要です。それ以外にも様々な書類を準備しておかなければいけないため、それぞれの申請に何が必要なのかをチェックしておきましょう。
また、接骨院の名称を考えておくことはもちろん、開業前に保健所に相談するのもおすすめです。不備があると何度も役所などに足を運ぶ必要があり、非常に手間かかります。事前に確認しておけば、不備なくスムーズに開業できるでしょう。
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8.税理士・社労士を決める
接骨院を開業するなら、税理士や社労士を決めておくことも必要です。事業を始めるとなると、決算の申告が必要になります。経理の知識がない人がいきなり申告をするのは大変なので、決算業務をサポートしてくれる税理士や会計士を探しておきましょう。
また、接骨院で従業員を雇う場合には、様々な届出や知識が必要になります。従業員関連の業務をサポートしてくれるのは、社会保険労務士(社労士)です。給料の支払いや労働条件など、様々な相談に乗ってくれます。
もちろん顧問料はかかりますが、独学で知識をつけても抜け漏れが出てしまい、1つの申請だけで何日も費やしてしまう可能性があります。そんな手間と時間を費やすくらいなら、専門家に任せてしまうほうが賢明です。
接骨院を開業するということは、専門家のサポートを受けながら、自分自身が経営のプロフェッショナルになるということです。
しかし、経営者になったからといって、すべて自分だけで処理する必要はありません。経営者なら、もっと他にやらなければいけないことがたくさんあるので、任せられることはプロに任せて、本業に打ち込みましょう。
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9.プロモーション戦略を考える
経営戦略・事業戦略のところでもお話しましたが、接骨院を開業するということは、売上を出すことが必須条件です。売上を出すためには、来院者を増やしていく必要があります。
しかし、何もせずに来院者が勝手に来てくれるわけではありません。事業を発展させるためには、来院者を増やすためのマーケティングやプロモーション活動が必要になります。
たとえば、「雑誌などの紙媒体に広告を載せる」「ホームページを作ってオンライン予約ができるようなシステムを作る」など、プロモーションの方法はたくさんあります。
チラシを作って、近隣のポストに投函するのも1つの方法かもしれません。ただし、最近はオンライン化が進んでいるので、チラシにどれだけの訴求力があるのか、という部分まで深く分析する必要があります。
たとえば、ターゲット層が高齢者であればチラシのほうが訴求できるでしょう。しかし、30~40代をターゲットにする場合には、オンラインシステムを構築するほうが有効です。その場合は、IT系のエンジニアやプログラマーなどに依頼してホームページを作成してもらう必要があるでしょう。
プロモーション戦略にも様々な方法が考えられるので、色々なパターンを試してみて、ダメなら次の戦略……という感じでどんどん試していくことが大切です。
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まとめ
柔道整復師が接骨院を開業するためには、様々なことを検討し、戦略を練らなければいけません。ここでご紹介した9つの条件は、ほんの一部です。本気で開業するなら、もっともっとたくさんのことを考えなければ成功させることはできないでしょう。
独立開業は楽そうに思えるかもしれませんが、想像以上にパワーが必要です。頭を使うこともたくさん出てくるので、心身ともにタフでなければ難しいかもしれません。
そのため、「稼げそうだから……」という理由で独立開業しようと思っていた人は、まずは転職するほうがベストな選択といえるでしょう。今一度、冷静に考えてから決断することが大切です。
まずは転職して、柔道整復師としてのスキルを磨くことも、ゆくゆくは独立開業する際に役立ちます。柔道整復師として転職を検討しているなら、WELLジョブに相談しましょう。
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スキルアップして自信がついたら、今回の記事を参考にして独立開業へのステップを歩み始めましょう。